有明涅槃雑記

(ブログ)

初夢2021

俺は「ハルダークヴェラゲルジ」を目指して二車線の国道沿いの、ガードレールと高いブロック塀の間の幅2メートルくらいの歩道を歩いていた。晴天。

ガードレールと高いブロック塀の間の歩道には、なめ茸のようなぬるぬるしたものが散乱していて滑って歩き難い。靴も汚れるし、腹が立つ。
ガードレールの向こうの車道はバッファローやダチョウや秋田犬や天竺鼠の大群が絶え間無く疾走していて危ないし獣臭い。

車道の方を警戒しつつ転けないように慎重に小股で歩いていると、住宅街の方に入る道があったのでそちらの方を通る事にした。
住宅街の方は閑静で、道になめ茸が散乱していたり野生動物が疾走している事も無く安全だ。

この辺りは芸術家ばかりが住んでいる住宅街で、「へ」の字型の家、球体の家、外壁も家具も何もかも透明で中が丸見えの家、水玉模様のキノコ型の家、巨大な猫の形をした家、など様々な独創的な家が無秩序に建ち並んでいる。

独創的なのは家だけで無く、登っているのに降りているように錯覚するトリックアートのような歩道橋、24色のグラデーションのようになった信号機、「虚無」と書かれた透明のボトルしか売っていない自販機などもあり、街全体が美術館のようだ。

壮麗なグランドピアノ型の住宅の横を通過していると、誰かがこちらに向かって走ってくるのが見えた。よく見ると服を着ていない。
さらによく見てみると、顔がハコフグで身体は人間の男だ。
何故顔がハコフグなのに性別が男だと分かったかと言うと、骨格や走り方のフォームが完全に男であるし、陰茎が左右に揺れていたからである。
前後ではなく左右に揺れるのだなと感心していると、そのハコフグ男は俺に話しかけてきた。
「つい先程、整形外科で顔をハコフグに移植してもらったところだ。どうだ、かっこいいか」とハコフグ男は言う。
「非常にかっこいいですね」と当たり障りの無い事を言うとハコフグ男は「フッヘッ」と少し笑い、満足げに走り去った。

それから間も無く、目的の多国籍料理店「ハルダークヴェラゲルジ」に到着した。
窓から見える店内は暗いし昼時だと言うのに駐車場には車が一台も停まっていない。入口の方まで歩くと、定休日の看板が置いてあった。

多国籍料理店「ハルダークヴェラゲルジ」は外観は普通のファミレスのような感じだが、グルメサイトで調べたところによると、エラワルロティにスメタナをかけてメルジメッキ・チョルバスやウーゾと一緒に食べるのがお勧めらしい。
エラワルロティにスメタナをかけてメルジメッキ・チョルバスやウーゾと一緒に食べるなんて、そんなふざけた食べ合わせがあるものかと思ったが、よく考えてみると意外と合いそうな気がして、まあ俺は酒は飲まなくなったのでウーゾは飲まないにしても、スメタナをかけたエラワルロティとメルジメッキ・チョルバスだけでも是非食べてみたいと思った。
しかしエラワルロティにスメタナをかけてメルジメッキ・チョルバスやウーゾと一緒に食べられるという事ばかりに気を取られて定休日を確認するのを忘れていた。
俺とした事が情け無い。
今度は開いている日に来よう。

と思った所で目が覚めた。