有明涅槃雑記

(ブログ)

映画と俺。(何思う、祭りのあとの、ごみの山)

今週のお題「最近見た映画」

今、世間で大流行しているアニメーション映画があるらしいが、俺はそれに全く興味が持てない。 巷には大量生産されたそのアニメーションに関する商品が溢れていて、消費者たちはそれを求めて騒いで、いつかは飽きて、大量に捨てられていくんだろうと思う。 その享楽のあとに、彼らの心には何が残るのだろうか。 俺はもうここ五年ほど全く映画を見ていないが、二十代の頃、映画に熱中し、月に20から30本くらい見ていた期間がある。 もうずいぶん前の事なので殆ど忘れてしまっているが、そんな俺が見てきた映画の中で今でも時々思い出すような印象に残っている作品をいくつか挙げてみようと思う。

『道』

道 [DVD]

道 [DVD]

  • 発売日: 2014/03/22
  • メディア: DVD

1954年に公開されたフェデリコ・フェリーニ監督の映画。 横暴な旅芸人の男ザンパノとその旅芸人に買われた女ジェルソミーナが共に旅する中で起こる様々な出会いや出来事を描いた映画である。 未だ見ていない者の為に詳細は書かないが、この映画のラストシーンは今でも時々遣る瀬無い情感と共に鮮明に脳裏に浮かび、あたかも自分がザンパノであるかのようにしみじみと後悔と悲哀の念に沈む事がある。

『夢』

夢

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

1990年に公開された黒澤明監督の8つの短編、「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉」「赤冨士」「鬼哭」「水車のある村」からなるオムニバス形式の映画。 8つの短編はどれも素晴らしかったが、特に印象に残っているのは「桃畑」のひな壇のシーンの圧倒的な映像美。 それから、「水車のある村」を見た際に、見覚えのある風景だと思い調べてみると撮影地は俺が信州の安曇野に住んでいた頃に訪れたことがある大王わさび農場であった。

『ひそひそ星』

ひそひそ星

ひそひそ星

  • メディア: Prime Video

2015年に公開された園子温監督の映画。 30デジベル以上の音をたてると人が死ぬおそれがあるという星で人に荷物を届ける宇宙配達員の女アンドロイドが主人公。 震災後の荒廃した福島で撮影された映像は、この作品の静かでもの悲しい世界観と非常にマッチしていた。

スカイ・クロラ

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

  • 発売日: 2014/08/13
  • メディア: Prime Video

2008年公開の押井守監督のアニメーション映画。 もうずいぶん昔に見た映画であらすじも思い出せないので引用する。

"永遠に生きることを宿命づけられた“キルドレ”と呼ばれる子どもたちが暮らす、もう一つの現代で、彼らは“ショーとしての戦争”で戦闘機に乗って戦っていた。戦うことで生を実感する日々を送る中、元エースパイロットの女性指揮官・草薙水素菊地凛子)と基地に赴任してきたエースパイロット・函南優一(加瀬亮)が出会う。(シネマトゥデイ)より。"

よくわからんがとにかく好きだった。戦闘シーン以外は基本的に静かで、哲学的だ。俺は静かで哲学的な映画が好きだ。 同監督の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』も高橋留美子や原作のファンには不評らしいが原作に何の思い入れもない俺にとっては良かった。

茶の味

茶の味

茶の味

  • メディア: Prime Video

2004年公開の石井克人監督の映画。 美しい日本の田舎の風景とシュールレアリスムが融合したような独特の世界観が良かった。

もうあれこれ書くのが面倒になってきた。 興味があればググるなり動画サイトで予告編を見るなりして、見たくなったらDVDやBlu-rayを買うなり、レンタルショップで借りるなり、有料の動画配信サービスなどを利用して見ればいい。便利な時代になったものだ。 そうやって映画は消費されていく。 いっときの熱狂と共に消費された後の世界には一体何が残るのだろう。 教訓か、啓蒙か、カタルシスか、 或いは少し偉くなったような顔をした猿たちと、ゴミの山か。