夢の続きのようなもの
買いたい本があり書店に行くついでに、気候が良かったので標高50メートル程の小高い山に立ち寄った。
俺はこういう、人工物と植物が共存する空間が好きだ。
昔はここにモノレールの駅があったらしい。
ペチュニアか、或いはサフィニアだろうか。可愛らしい花である。
セブンティーンアイス。たまに食べると美味しい。
トケイソウ。
英語では Passion flower と言うそうだ。
文化が違えば呼び方もニュアンスも全く違うものになる。
人は皆それぞれが普段接している共同体(国家、自治体、家族、友人、会社、組合など)や情報源(テレビ、ラジオ、新聞、書物、ウェブサイトなど)が作り出す共同幻想の中で生きているのだ。
今はもう営業していない回転展望台喫茶店。
その名の通り回転する展望台の中で茶や軽食を楽しめたらしい。
何度も観た景色だが、日によって見え方が違う。
単に移り行く街並みや気候のせいもあるだろうし、俺の精神や視点の変化のせいもあるだろう。
同じように見えても、同じ景色は二度と無い。
人も街も自然も変わっていく。
隣の遊園地と市民プールは今年閉園した。
今年は最後の年だったが、疫病の影響で営業は出来なかった。
太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔。
人類はいつになったら愚や野蛮を克服出来るのだろうか。
様々な植物が綺麗にデザインされ、整えられている。
昨今の環境問題は人間の自然に対する過剰な制御がもたらしたものだが、自然との共存の為には適度な制御も必要となるだろう。
どのような尺度によってその適度を決定するのかが問題なのである。
温室植物園も有る。
昔ここで食虫植物の展示などを見た覚えがある。
登りが有れば、下りも有る。
15.9km歩いたと、機械が教えてくれた。
駅前の書店で、英語学習の合間に息抜きの為に読む本を購入した。
俺の周囲には教養の有る人間など一人もいなかった。
野蛮で狭小で時代遅れな共同幻想の中を生きていた。
俺の両親は本など読まず、テレビの下品で低俗なバラエティ番組やワイドショーばかり見ていた。
無知で浅慮で、テレビの情報を鵜呑みにして意見や方針をコロコロ変える両親にうんざりしていた。
下いびりの上諂いで、嘘くさく信用出来ない大人ばかりだった。
少しばかりそれらしい本を読んだところで教養などと云うものが身につくとは思わないが、少しはマシな人間になりたいと思う。